薬王堂気まぐれ通信使bQ76   2004・11・14
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

第二の日曜日は広島漢方研究会のお世話で出られないのですが今月は第3日曜日になりました。
そこで私はしばらく出席していませんでしたヒコビア植物観察会に参加してきました。


山口県と広島県の境界付近↑

場所は広島県と山口県の境、山口県側の錦川上流にあたる寂地峡と云う場所です。
ここは吉和冠山(1339メートル)からの切り崩しの場所で熊が多く生息する場所でもあります。
もっとも高い集落で車を降り老人と話しをしてきました。

気まぐれ広島人:『今年はどうでがんしゃ〜熊は?』

地区の老人:『今年ゃ〜よう出るんでがんす。前の栗の木は全部熊にやられました。うちのカキノキは熊が上がってしょうがないんでがんす。』

気まぐれ広島人:『このカキノキ?』

地区の老人:『毎晩出ますが〜今がさかりですけ〜の!熊はよう知ってから渋柿は食わんですけ〜の!甘柿か、熟ししか食べんのんでがんす。よう知っとるですわい!』

樹皮に熊の爪跡が残るカキノキ↑
近づいて見てみましたらカキノキの樹皮は熊の爪の跡がはっきりと残っていました。
最も上の家でこうでしたのでその下にある家のカキノキにも行ってみました。
住まいとそんなに離れていないのに・・・それに犬もあんなに飼っているのに・・・過疎の村では夜行性の熊に為す術が無いのでしょうか!
それとも昔からの共存の方法で、そんなに神経質になっていないのかもしれません。
どのカキノキにも熊の登った時にできる爪跡がはっきりと残っていました。
中には熊が登れないようにブリキの波板を貼り付けているカキノキもありました。
それにしても今年は柿のなる年です。

寂地峡の中間部・滝つぼ↑
寂地峡はその民家の下方北側にあります。
深い峡谷でしょう、滝は五段に別れ相当の水量がありました。
造られた歩道は各所で朽ち果て落石で傷んでいます。
山口県も補修費用が無いんでしょうね。
皆で標高750メートル地区まで登りました。
寂地峡入り口ではウラジロガシ・アラカシ・アカマツ・カエデ類・スギ・ヒノキ・ヤマザクラなどの仲間が混生する雑木林ですが登るごとにツガ・イヌガヤ・イヌブナと言った大きな樹木が目立ってきます。
ここには着生の植物も多くあります。
昔はカヤラン・セッコク・マメズタランといったランの仲間が多く見られました。
エビネ蘭が人目を避けるように育っています。
アサガラの大木に珍しいクラガリシダが着生していました。
広島では吉和に通ずる渓谷で見たことがあります。
山の中では脳症を引き起こすと言われるスギヒラタケによく似たムキタケらしきキノコやコナスビがありました。

クラガリシダの生えるアサガラの木↑
イロハモミジ・オオイタヤメイゲツが紅葉の真っ只中です。
しかし花など眼を引くものは無かったですね。
ツルリンドウの赤い実とツルアリドウシの赤い実が目立ちます。
テンナンショウはもう冬の準備、キッコウハグマは種を飛ばす準備をしていました。
一つ珍しいと思いましたのはオオツヅラフジの青黒い実が見られたことです。
葉が小さめのアオツヅラフジ=木防已(もくぼうい)はよく見ます。
オオツヅラフジ=日本では漢防已(かんぼうい)に当てます。
筆の名産地・熊野町の古老はかつてオオツヅラフジの茎を痛み止めに使っていました。

オオツヅラフジの実と葉↑
日本の各地にこのオオツヅラフジを煎服し痛み止めに使う例があります。

帰りがけ、広島県との県境に牛を飼っている地域があります。
ここに咲いていたムラサキツメクサ、ヨーロッパ原産の帰化植物ですが添付してみます。
別名アカツメクサは外国に陶器を送るのに乾燥して詰み込まれた植物のようです。

ムラサキツメクサの花↑
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